会社は、会社員に対して労働基準法上の時間外労働(週40時間、1日8時間の法定労働時間を超える労働)、休日労働(週1日の法定休日における労働)や、深夜労働(午後10時から午前5時までの労働)をさせた場合、割増された賃金を支払わなければなりません。時間外の基本賃金が一切支払われていない場合、未払いの基本賃金も支払う必要があります1。
トラックドライバーも、残業をしていて、適切に支払われていないのであれば、会社に対して、未払いの残業代を請求できます。
残業代請求ではどれほどの残業をしていたのか(労働実態)、それを立証できるのか(証拠があるのか)等が問題となります。
立証できるかが問題となるのは、どれだけ働いていても、立証できなければ、裁判所に働いていた時間を認めてもらえない可能性があるからです。裁判所に残業時間を認めてもらえなければ、残業代の請求が認められない可能性もあります。
証拠については、まずは、デジタコ、日報等の業務報告書、酒気帯びの確認記録(アルコールチェック)等の客観的な証拠の収集が重要です。退職後の残業代請求等、手元に証拠がない場合には、会社から開示させることも検討が必要です2。
また、残業代請求においては、業務手当、配送手当や長距離手当等の名目の手当が残業代の計算の基になるか等も問題となります。
というのも、業務手当等の手当が残業代に対する支給だとすると、その分の残業代が支払われていることになりますし、手当を含まない金額を基に残業代を計算するので、残業代の金額が低くなります。
他方で、会社が残業代に対する支給と主張しても、法的にはそうとは認められない場合には、手当の相当額の残業代が支払われていることにはならず、手当を含む金額を基に残業代を計算するので、その分残業代の金額が高くなります。
例えば、固定残業代としての支払としては認められない場合、基本給25万円のほかに業務手当として5万円が支給されているとき、合計30万円が、残業代の計算の基礎となる賃金になります。
他方で、固定残業代としての支払として認められる場合、基本給25万円が、残業代の計算の基礎となる賃金になります。残業代の計算の基になる金額が、5万円も差があります。
したがって、残業をされている場合、適切に残業代が支払われているかの確認も必要です。
トラックドライバーの残業代等の請求の裁判例もご紹介いたします。
令和7年1月24日大阪地方裁判所判決
結論としては、約1025万円の支払いの請求等を認めています。
原告は、トラックドライバーとして運送の業務に従事していた者です。被告は、原告を雇用していた会社等です。
原告は、令和2年2月から令和4年6月までの時間外労働に関する未払いの割増賃金約973万円等を請求していました3。
争点が多々あり、その一つが、日給に固定残業代が含まれるか否かでした。本件では日給に残業代を含むものとするとの説明が原告にされたことを認めるに足りる証拠がなく、日給の金額が業務の負担に対応する賃金として原告が希望して会社が受け入れて定められた金額であることから、日給には固定残業代が含まれていないと判断されています。
固定残業代が有効か否かで、請求し得る残業代の金額が大きく変わります。固定残業代と残業代請求をご覧ください。
令和5年11月7日東京地方裁判所判決
結論としては、約606万円等の支払いの請求を認めています。
原告は、被告会社においてトラックドライバーとして勤務していた者です。
残業代等請求事件との事件名ですが、歩合制において、総支給額が、売上高-手数料-経費等であったところ、被告会社は、経費等として、社会保険料の事業主負担分も控除していたようです。
本件では社会保険料の事業主負担分が経費等に含まれるとはいえないとして、にもかかわらず控除されていた分の損失の請求が認められています。
トラックドライバーの残業代等の請求は、弁護士にご相談ください。
当事務所もご相談をお受けしています。
- 残業代請求等における割増賃金について ↩︎
- 手元に証拠がない場合の会社に対する残業代請求 ↩︎
- なお、現在の残業代の時効は3年です。残業代はいつまで請求できるの?(残業代の時効) ↩︎
