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複数の会社で副業・兼業している場合の精神障害の労災

2024 12/01
労働問題 労働災害の問題(過労死・過労自殺・過労うつ等)
2024年12月1日
弁護士栄田国良(神奈川県弁護士会所属)

1 はじめに

 複数の会社、例えば二つの会社で副業・兼業している労働者(複数事業労働者[i])の精神障害の労働災害は、どのように考えればよろしいのでしょうか?

2 労災の要件

 精神障害の労災が認められるためには、原則として、以下の3つを満たすことが必要です。

 ①うつ病等の対象となる精神障害を発病していること。

 ②精神障害の発病前のおおむね6か月の間の業務による強い心理的負荷が認められること。

 ③業務以外の心理的負荷や個体側の要因によって発病したと認められないこと。

 一つの会社で仕事をしている労働者の場合、上記の②の業務による強い心理的負荷については、一つの会社での業務による強い心理的負荷が認められるか否かを検討することが必要です。

 それでは、複数、例えば二つの会社で副業・兼業している場合に、上記の②の業務による強い心理的負荷について、どのように考えればよろしいのでしょうか?

3 複数の会社で副業・兼業している場合の労災の考え方

 複数の会社で副業・兼業している場合、複数の会社での業務による心理的負荷について検討します[ii]。

 一つの会社の業務による心理的負荷では強い心理的負荷とまではいえないとしても、複数の会社の業務による心理的負荷を総合的に評価することで、②業務による強い心理的負荷が認められる可能性があります。

 例えば、一つの会社での一か月の時間外労働が60時間あり、二つ目の会社での一か月の時間外労働が50時間ある場合、二つの会社の労働時間を合算して考えると、一か月の時間外労働時間が110時間になります。そのような時間外労働が3か月間続いていたとすると、上記②の業務による強い心理的負荷が認められる可能性があります。

 複数の会社で副業・兼業している場合、それぞれの会社での業務の心理的負荷を調査、検討、証明するために、それぞれの会社での業務の心理的負荷に関する証拠を集めることが重要になります。

 精神障害の労働災害は、当事務所へご相談ください。お問い合わせは、「お問い合わせフォーム」からお願いいたします。

4 参考文献

 「心理的負荷による精神障害の認定基準」(2023年9月1日付け基発0901第2号別添)第9・11頁[iii]

 精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書」38頁[iv]

 大阪過労死問題連絡会編「過労死・過労自殺の救済Q&A」第3編153頁  第二東京弁護士会労働問題検討委員会編「労働事件ハンドブック」改訂版829頁

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