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【不当解雇】不適切な言動等を理由に解雇が有効であると判断された事例・令和7年6月26日新潟地方裁判所判決

2026 3/10
労働問題 労働契約終了に関する問題(辞職、退職勧奨、解雇、整理解雇等) 裁判例
2026年3月10日
弁護士栄田国良(神奈川県弁護士会所属)

 令和7年6月26日新潟地方裁判所判決は、解雇された労働者からの解雇無効を理由とする請求に関して、不適切な言動等を理由とした解雇が有効であると判断しました。

 本件では解雇が不当労働行為である等とも主張されていましたが、以下では、不適切な言動にかかる裁判所の判断をご紹介します。

 本件判決は、まず、解雇事由について、「本件解雇は、「職務に必要な適格性を欠く場合」(就業規定47条1項2号)に当たるとしてされたものであるが、それが教職員の解雇事由であることに照らすと、「職務に必要な適格性を欠く場合」とは、当該教職員に使用者の改善措置によっても容易に矯正しがたい職務を行うに必要な能力の不足又は素質、性格に基因する不適格な行為があって、その職務の遂行に支障があり、その支障の程度が当該教職員を組織から排除しなければならないほど重い場合をいうものと解するのが相当である。」と述べています。このように、解釈としては、解雇が容易には有効にはならないと思われる解釈をしています。

 その上で、本件判決では、使用者が主張する解雇事由の根拠となる事実が多岐にわたるけれども、生徒に対する言動とその他の行為に大別できると整理しています。

 そして、例えば生徒に対する言動について、本件判決は、以下の内容等を述べています。

 「「あなたのお母さんは誰かも分からない男を家に連れ込んでいるようですけどご家庭は大丈夫ですか」という発言は、強い侮辱の表現であり、その発言がされた状況や文脈いかんにかかわらず、発言の相手やその家族の名誉を害し、又は名誉感情や自尊心を深く害する悪質なものというべきである。ましてや、本件においては、授業中に、教員である原告から、高校生であるE2に対して、多数の同級生らの耳にも入る状況でこのような発言がなされたというのであるから、その悪質性が極めて高いことは論を待たない。原告の当該発言により、E2は、その母がE2の自殺を危惧するほど強く衝撃を受けた様子であり、これを受けて母が大変憤り、仕事を休んで学校に苦情を申し入れに赴いたことも当然といえ、原告の発言が与えた影響は大きい。このように、原告の当該発言は、教員の授業中の言動として著しく不適格であり、生徒に教育上与える悪影響をはじめとして、職務の遂行に大きな支障を生ずるものであって、同事実のみで解雇相当と評価できるほどの重大な事実というべきである。
 また、「以前は、友達と数学の質問に来ていたけど最近来なくなりました。あなたは周りからハブられていましたもんね」との発言も、他の生徒から仲間外れにされている旨を、不必要な場面で殊更に指摘する発言であり、現に仲間外れにされているような事実がなかった場合においても当該生徒の名誉ないし名誉感情を害し不快にさせるものであるが、現に仲間外れにされている事実があった場合には、教員として生徒が仲間外れにされている現状を認識しながら無責任にも何ら対処をせず、多数の生徒の面前で仲間外れにされていることを揶揄するものであり、本来であれば配慮ある対応が求められる当該生徒を深く傷つけ、さらなるいじめを惹起し得る発言という点で甚だ不適切である。」

 その他にも、生徒に対する悪質な言動が指摘されています。

 さらに、本件判決は、次の内容等を述べ、改善措置による矯正可能性が乏しく、職務遂行への支障の程度が高校から排除しなければならないほどに重大であると判断しています。

 「原告は、C1校長から口頭で指導を受け、あるいは、保護者等から苦情を受けるなどしてその言動の問題性に気づき、これを改める機会が何度もあったにもかかわらず同種の言動を繰り返していること、また、事実のほとんどを認めず、とりわけ、E2に対する発言の一部について、E2自身又は他の教員がした発言であるなどと不合理な弁解に終始していることに照らすと、原告が生徒に対する自身の言動の問題性を自覚し、内省を深めているとは到底評価できない。
 加えて、原告は、本件懲戒処分を不当労働行為であるとして争い、C1校長らによる注意、指導は、全て本件組合員である自らを嫌悪する故であると主張し、C1校長の発言をボイスレコーダーで録音し、反抗的な態度を示すなど、注意や指導に対し、聞く耳を持たない状態であったと認められる。」
 「以上を踏まえると、原告には自主的・自律的な改善は期待できず、被告の注意、指導によって原告の言動を是正することはもはや困難であり、矯正可能性は乏しいというべきである。」

 「学校教育が、人格の完成を目指し、健康な心身の育成を期する場であることに鑑み、教員は、生徒の模範となり、また、生徒との関わり合いを通じて、生徒の発達を支援すべき立場にあるところ、原告が、生徒を傷つけ、心身の健康を害する言動をしたことは、教員としての職務の中核に支障を来すものである。また、一般に、ひとたび生じた精神的苦痛や精神面への影響を事後的措置により慰謝し、補填することは困難であることに加え、現にE2においては自殺が危惧され、N2においては自傷行為に及ぶ事態となったことに照らすと、今後生徒の自殺や自傷など取り返しのつかない事態が生じることも否定できない。そして、前記のとおり、原告には自主的・自律的な改善は期待できないものであり、原告が今後も同種の言動に及ぶ可能性は高いといわざるを得ないのであるから、上記の事態を避けるためには生徒との関わりを一切持たせないこととするほかはなく、教員としての職務遂行への支障の程度は、原告を本件高校から排除しなければならないほどに重大であるというべきである。」

 結論として、本件判決は、解雇が有効であると判断しています。

 解雇の場合には労働者側に有利で、労働者側が勝てることが多いと言われることがありますが、当然ですが、あくまでも事案によって見通しが異なります。

 解雇にも様々な解雇があり、使用者側が十分に検討せずにした解雇もあれば、顧問弁護士に相談する等して(法的な見通しを確認した上で)解雇に踏み切ることもありますし、会社が主張する根拠が十分なこともあれば、不十分な場合もあります。

 労働者側からみても、労働者側の落ち度の有無や使用者から求められる業務水準の程度等が様々です。本件判決でも、労働者側の不適切な行為が多々認定され、労働者側に求められる水準も踏まえて、解雇が有効と判断されています。

 ご相談に応じて、具体的に見通しを検討することが必要不可欠です。

 不当解雇を法的に争うことをご検討されている場合は、弁護士にご相談ください。

 当事務所もご相談をお受けしています。

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