半分うつとは?1
半分うつについて、精神科医の平光源先生が書かれた「半うつ 憂鬱以上、うつ未満」という書籍があります。
著者は、うつ病とは、次の3つの神経伝達物質の全て大幅に減ってしまった状態と述べられています。3つの神経伝達物質は、セロトニン(心のブレーキ)、ノルアドレナリン(心のアクセル)、ドーパミン(心のエンジン)です。
それに対して、半分うつとは、上記3つの神経伝達物質全てが不足しているわけではないけれど、どれか1つ、あるいは2つが不足している状態と述べられています。
半分うつの状態の具体例としては、仕事を終えると、リビングで力尽きて、そのままソファの上で寝てしまう、「何かしなきゃ」と思いながら「何もできない」を繰り返して、気が付けば時間が経過しているというような、ギリギリの生活を過ごすような状態である旨述べられています2。
ある意味ではうつ病の一歩手前に位置づけられる精神疾患として適応障害があります。著者は、適応障害については、今いる環境にいることが辛く感じられる状態であるのに対して、半分うつについては、環境が変わっていないのに憂鬱以上の気分を感じている状態である旨述べられています3。
うつ病の症状による憂鬱と、健康な人が感じる憂鬱とは、区別する必要があると考えられています4。半分うつという考え方も用いるとすると、半分うつによる憂鬱とも(概念上は)区別できるように思われます。
抑うつ状態と半分うつの関係性も気になりますが、以上のとおり、半分うつという考え方が示されています。
半分うつと労働問題?
うつ病や適応障害等の精神疾患が問題となる労働問題は、うつ病や自死等の労災申請・損害賠償請求、パワハラやセクハラ等です。
実務上、うつ病等の労災申請等の労働問題においては、精神疾患を発病したか否かで、法的手段の選択肢も、請求し得る損害賠償の金額等が変わってきます。
例えば、うつ病等の精神疾患の労災は、対象になる精神疾患を発病していることが条件です。ですので、ご本人が精神的・肉体的負荷を受けて、体調を崩したとしても、うつ病や適応障害等の病気になっていなければ、労災の補償を受けることはできません。
また、パワハラやセクハラ等の損害賠償請求でも、病気になっていたか否か(あるいは病気になったとの因果関係を証明できるか否か)で、請求し得る賠償金が変わってきます。
ただ、半分うつという考え方が定着した場合には、労働問題にも影響があるかもしれません。
さいごに
精神疾患になったか否かで法的な選択肢等が変わりうるとは書きましたが、やはり、何よりも、健康と命が一番大事です。半分うつという状態であればもちろん、そうでなくても、何かおかしいな等と少しでも自覚がある場合には、メンタルクリニック等を受診したり、休息される等してください。
以上、平先生の著書を拝読してのコラムでした。
