退職届等は撤回できる?
労働者が会社に対して退職届等を提出して退職する背景には、キャリアアップや家庭の事情等のような事情以外にも、例えば、以下のような様々な事情があると思います。
・長時間のサービス残業、上司からのパワハラ等の過酷な職場環境に置かれた状態で、耐えられなくなって、退職届を提出してしまった。
・仕事が原因でうつ病や適応障害等によって休職していたけれども復職が難しいので退職してしまった。
・会社から執拗に退職を求められ、退職に応じてしまった(退職勧奨)。
しかし、仕事が原因のうつ病や適応障害等の病気であれば、労災であり、休職期間満了での自然退職や解雇にならなかった可能性があります。また、退職勧奨に応じたけれども、客観的には会社には解雇できるだけの理由がなく、解決金等の交渉ができた場合もあります。
法的には他の選択肢もあったと知った時に、退職届等を提出しなければよかったと思うことがあります。それでは、退職届等は撤回できるのでしょうか?
合意解約?
そもそも、退職勧奨などに応じて退職届や退職願等を提出するのは、原則として、退職の意思表示にあたります。会社との合意によって、労働契約が終了になります(合意解約)。
合意解約ですので、退職の意思表示は、会社が受領の意思表示をしないうちは、撤回できます。
この点、最高裁は、人事部長が退職承認の権限を有することをもって、承諾により合意解約が成立したとみなしうるとの判断を示しています(昭和62年9月18日最高裁判所第三小法廷判決労働判例504号6頁)。
退職届等が受理されてしまうと(合意解約が成立してしまうと)、退職勧奨に対する交渉等ができなくなる可能性があります。
ですので、退職届等を提出するべきかは慎重に検討する必要があります。また、提出してしまった場合に撤回したい場合には、撤回できるのか確認することも必要です。
合意解約の申入れなのか、辞職の意思表示なのか
そもそも、退職届等の提出や、「辞めます。」等といった口頭での意思表示が、合意解約の申入れか、辞職の意思表示なのか、労働者の認識としても、はっきりとしないこともあります。
労働者からの辞職の意思表示だとすると、会社の合意が無くても、労働契約が終了します(労働者により一方的な労働契約の解約で、通常は、2週間経過すれば労働契約が終了します。)。
会社から辞職の意思表示と主張されたとしても、合意解約の申入れに当たる可能性を検討すべきです。
強迫等による退職も撤回できる?
合意解約等によって退職の撤回が認められない場合でも、強迫や錯誤等の一定の場合には、退職の意思表示の効力を争えます。
退職届に関するトラブルは弁護士にご相談を
退職勧奨を受ける等して退職届等を提出しようか悩んでいる、既に提出してしまったけれども納得できない等の退職届等に関する労働トラブルは、弁護士にご相談ください。
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