パワハラの通報を理由とした解雇は不当解雇?
パワハラを受けた方や、パワハラを目撃した方が、社内の窓口等に、パワハラの事実を通報することがあります。そして、通報後、会社から、解雇されることがあります(パワハラについては、「労働問題におけるパワーハラスメント」をご覧ください。)。
会社としては解雇の理由としてパワハラの通報を挙げないことが多いと思いますが、会社が理由として挙げないとしても、実際には、パワハラの通報を理由とした解雇もあります。
それでは、パワハラの通報を理由とした解雇は、不当解雇でしょうか。
結論としては、不当解雇である可能性はあります。
公益通報者保護法とは?
労働者による通報といえば、公益通報者保護法があります。
公益通報者保護法は、労働者等が公益のために通報を行ったことを理由として解雇等の不利益な取り扱いを受けることがないよう、制度的なルールを明確にするものです1。
例えば、労働者が一定の場合に行った公益通報を理由として、会社が公益通報者である労働者に対して行った解雇は、無効とされます2。
公益通報とは、次の条件を満たすものです3。
① 労働者等が、
② 不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、
③ 使用者である会社等について通報対象事実が生じる等の旨を、
④ 会社等に通報すること。
上記の通報対象事実は、「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律」として公益通報者保護法や政令で定められた法律に違反する犯罪行為等をいいます4。
パワハラは公益通報の対象になる?
パワハラの通報が公益通報であれば、公益通報者保護法によって、パワハラの通報を理由とした解雇は不当解雇(無効)になります。
ですが、パワハラの通報は、公益通報になりません。というのも、パワハラは、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律において規定されていますが、叱責や罵倒等のパワハラは、「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律」として公益通報者保護法や政令で定められた法律に違反する犯罪行為等ではありません。
なお、パワハラが暴行や脅迫等にあたるのであれば、そのようなパワハラの通報は、公益通報になります。また、パワハラの通報が公益通報にあたるとしても、実務上、会社がパワハラの通報を解雇の理由としたか否かが争われることがあります。
公益通報の対象にならないとしても内部通報を理由とした解雇が無効とされる場合がある?
パワハラが公益通報の対象にならないとすれば、パワハラについての通報は、公益通報者保護法で保護されません。
しかしながら、パワハラについての通報を理由とした解雇は、労働契約法16条に定められる解雇権濫用法理によって、不当解雇(無効)と判断される可能性はあります。
例えば、東京地判平成21年6月12日判例タイムズ1319号94頁は、財団法人の総務部長が、常務理事兼事務局長のパワハラ的言動等を告発する報告書を理事長に提出したこと等を理由とする懲戒解雇が無効とされています。
不当解雇に納得できない場合は、「会社から不当解雇された場合の労働者の対応」をご覧ください。
パワハラについての通報を理由とした解雇等の不利益な取り扱いに対する対応は、弁護士にご相談ください。当事務所もご相談をお受けしています。
- https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_220705_0001.pdf ↩︎
- 公益通報者保護法3条 ↩︎
- 公益通報者保護法2条1項 ↩︎
- 公益通報者保護法2条3項https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_220705_0001.pdf ↩︎
