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【不当解雇】就労意思を喪失後の賃金請求や地位確認請求が認められなかった事例・令和7年9月11日東京地裁判決

2026 3/12
労働問題 労働契約終了に関する問題(辞職、退職勧奨、解雇、整理解雇等) 裁判例
2026年3月12日
弁護士栄田国良(神奈川県弁護士会所属)

 令和7年9月11日東京地裁判決・双龍産業事件の事案は、解雇された従業員が、会社に対して、普通解雇が無効であると主張して、従業員であること地位確認と未払賃金の支払い等を請求した事案です。

 本件判決は、結論としては、普通解雇が無効であるとしました。しかし、会社への就労意思を喪失したとして、喪失後の賃金請求や、従業員であることの地位確認(復職)を認めませんでした。

 実務上、不当解雇事案では、民法536条2項を用いて、解雇期間中(解雇されてからそれ以降の期間)の賃金相当額をバックペイとして請求することになります。通常は、仕事をしなければ給与は発生しません。ですが、不当解雇によって、会社の都合で仕事をできずにいるのであるから、労働者が給与を請求できる、という考え方です。

 ただ、解雇が有効であれば解雇後の賃金相当額を請求できないのはもちろんですが、解雇が無効だとしても、労働者に就労の意思や能力がないとき等は、バックペイを請求できないことになります。

 本件判決も、就労の意思がなくなったと認定した時点以降のバックペイの請求等を認めませんでした。

 就労の意思喪失に関する本件判決の判断は、要旨、以下のとおりです。

・原告は、遅くとも令和4年3月時点で新たな再就職先で稼働していた。

・会社は、令和4年3月23日、職場復帰検討書を提出した。原告は何ら応答しなかった。

・原告は、令和4年4月11日、解雇が不当労働行為であるとする救済申立てを取り下げた。

・その後、会社に対して職場復帰を求める等しないまま1年半以上が経過した。

・原告は、令和5年10月27日、訴訟を提起した。

・原告は、令和4年4月12日には被告への就労意思を喪失したものと認めるのが相当である。

・解雇後未払賃金も発生するが、令和4年4月11日までの限度のみで発生する。また、地位確認請求は認められない。

 なお、本件判決の事案では、解雇後に訴訟が提起されるまで1年半以上が経過していたことから、解雇の無効を主張することが信義則に違反して許されないかも問題になっていました。結論としては、信義則に違反して許されないとまではいえないと判断されています。それでも、上記のとおり、令和4年4月12日以降のバックペイや、地位確認までは認められませんでした。

 

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