令和6年10月25日東京地方裁判所判決労働判例1343号81頁は、強制わいせつ罪を理由とした懲戒解雇の効力が争われたところ、懲戒解雇が有効と判断しました。
懲戒事由に該当するかについては、次のとおり判断しています。
「本件行為は、暴行を用いてわいせつな行為をしたものであり、令和5年法律第66号による改正前の刑法176条の強制わいせつ罪の構成要件に該当する。」
(中略)
「本件行為は、面識のない被害女性の意に反して公衆トイレに連れ込み、胸や陰部を触るというものであり、その行為態様は悪質であり、被害女性に著しい精神的被害を与えるものであって、重大な犯罪行為である。」
(中略)
「被告は、ミッションステートメントを制定して、法を遵守するという行動指針を明らかにしているところ、本件行為は被告の行動指針にも明らかに反するものである。」
(中略)
「本件行為は原告の氏名とともにテレビ及びインターネットのニュースで報道されており、このことは、本件行為が社会的に強く非難されるべき行為であり、被告の社会的評価の毀損をもたらすことを示している。」
(中略)
「以上の点に鑑みれば、本件行為は、被告の社会的評価の毀損をもたらすものというべきであるから、被告の賞罰規程25条1項⒃及び就業規則51条2項⒃の「刑法その他法規の各規程に違反する行為があったとき」の懲戒事由に該当する。」
懲戒解雇の客観的合理性及び社会通念上の相当性については、原告が会社に対して事実関係を具体的に報告していること、原告が被害女性に解決金を支払い示談が成立し、不起訴処分にとどまったこと等を踏まえても、客観的合理的理由があり、社会通念上も相当というべきである、と判断されています。
昨今の性被害に関する報道からすると、性加害に対しては厳しい処分が下されてもやむを得ない場合があるかと存じます。
本件は、訴状に代わる準備書面が提出されていることから、恐らく、労働審判が申立てられ、訴訟に移行したのだと思われます。労働審判ではどのような心証が示されたのか(労働者と会社のどちらに有利な心証だったのか)、労働者側がどのような戦略で労働審判を申し立てたのかについては、関心があります。
不当な懲戒解雇の労働問題については、弁護士にご相談ください。
当事務所もご相談をお受けしています。
