現在のうつ病や過労自死等の精神障害の労災の認定基準では、仕事によってうつ病等を発病した方が自死された場合、原則として、自死自体も業務起因性が認められます(労災の補償の対象になります。)。
具体的には、現行の精神障害の労災の認定基準では、自死の取扱いについて、「業務によりICD-10のF0からF4に分類される精神障害を発病したと認められる者が自殺を図った場合には、精神障害によって正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、あるいは自殺行為を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害されている状態に陥ったものと推定し、業務起因性を認める。」等と明記されています。
これまで労災の考え方が何度か変更されていますが、以前は、自死が労災補償の対象になるのか議論がありました。ですが、うつ病等の精神疾患や、それらの自死の危険性が理解されていくなかで、労災の考え方にも影響を及ぼし、現在の認定基準にまで至ります。
うつ病の自殺の危険性についていえば、張賢徳氏が行った調査によれば、診断不明例を精神疾患なしとみなせば、89%が自殺時に精神障害を有しており、最多の精神障害は、うつ病性障害で、全体の54%を占めていました1。 このように、うつ病は、自殺企図の危険性が極めて高い精神疾患といえます。
現在の過労自死の考え方の背景には、うつ病の自殺の危険性があるともいえます。
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- 樋口輝彦編「自殺企図 その病理と予防・管理」35頁から37頁 ↩︎
