過労自死の労災では、自死が労災として認定されるためには、故人がうつ病や適応障害等の精神疾患を発病していたと認められることが必要です。精神疾患の発病が必要なことは、”精神障害”の労災であることにも表れています。
そして、労災申請の結果、うつ病等の精神疾患の発病が認められないとの理由で、労基署が労災不支給の決定を出すことがあります。例えば職場で執拗に人格否定等のパワハラが繰り返されていても、過労死ラインを超える時間外勤務があったとしても、うつ病等の精神疾患の発病が認められないと、労災とは認定されません。
自死の背景には、殆どの場合、うつ病や適応障害等の精神疾患の存在が窺われます。精神障害の労災の専門検討会報告書にも、「診断、治療歴がない自殺事案については、精神障害発病の有無自体が問題になるところであるが、自殺に精神障害が関与している場合は多い。」と明記されています1。
それでも、自死したことが認められるのに、うつ病等の精神疾患を発病したとは認められないとの理由で、労災不支給の決定が出されることがあります。
労災不支給の決定が出された場合には、不服申立ての手続を検討する必要があります。「うつ病や過労自死(自殺)の労災保険の不服申立手続について」をご覧ください。
また、うつ病等の精神疾患を発病していたと認められることを証明できるのか、再検討する必要があります。労災不支給の理由、労災申請時の主張や提出した証拠の内容を踏まえて、追加の主張や証拠の提出も検討します。
うつ病等の発病が認められないとの理由で労災不支給となる場合、通常、生前に精神科や心療内科等の診断や通院が確認できないケースだと思われます。ただ、診断や通院が確認できないからといって、うつ病等の発病が認められないとは限りません。労災不支給の理由や、主張・立証の再検討を行えば、労災不支給の決定を覆せる可能性もあります。「働き過ぎの家族が自死されたら、うつ病等の診断が無くても過労自死の労災の可能性があります」もご覧ください。
過労自死の労災不支給決定に対する不服申立ては、弁護士にご相談ください。
当事務所もご相談をお受けしています。
