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【会社からの損害賠償請求】退職後に会社から訴えられたら?

2026 2/22
労働問題 企業秩序と労働者の権利義務に関する問題(懲戒処分、内部告発、仕事上のミスを理由とする損害賠償等) 裁判例
2026年2月22日
弁護士栄田国良(神奈川県弁護士会所属)

1 退職後に会社から訴えられたら(損害賠償請求されたら)?

 労働問題の一つに、会社が、退職した労働者に対して、競業避止義務違反や秘密保持義務違反等を理由に、訴えることがあります。

 会社の訴えには理由があることもあります。

 ですが、必ずしも会社の訴えに理由があるとは限りません。

 退職した労働者が会社に対して競業避止義務や秘密保持義務を負うのか、負うとして会社の訴えには理由があるのか、あるとして労働者がどの範囲まで損害賠償義務を負っているのか等は検討する必要があります。

 会社から請求されること自体精神的苦痛を与えうるものだと思いますし、会社からの請求が多額な場合等にはより一層労働者に影響を及ぼすと思われます。

 会社から訴えられた場合には、労働者の方からも、会社に対する未払いの残業代請求、過労うつ等の労災請求、過労うつの民事賠償請求等、それまで権利行使を控えていた権利があるのであれば、そういった請求をすることも考えられます。

 会社からの訴えが不法行為に該当するのであれば、会社の訴えに対する損害賠償請求をすることも考えられます。

2 プロシード元従業員事件・平成29年3月30日横浜地方裁判所判決労働判例1159号5頁

 本件判決は、会社が退職した元従業員に対して虚偽の事実を捏造して退職し、就業規則に違反して業務の引継ぎをしなかったことが不法行為に該当する等と主張して、元従業員に対して約1270万円の損害賠償等を求めた事案です。

 元従業員は、会社に対して、退職妨害、会社の訴え等による人格攻撃が不法行為等に当たる等と主張して、330万円の損害賠償等を求めました。

 結論としては、会社の元従業員に対する請求は棄却され(認められず)、元従業員の会社に対する請求は110万円の損害賠償請求が認められました。

 会社の元従業員に対する訴訟提起の違法性については、以下のとおり、判示されました。

 「訴えの提起は、提訴者が当該訴訟において主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、同人がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて提起したなど、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に限り、相手方に対する違法な行為となる。(最高裁昭和63年1月26日第三小法廷判決・民集42巻1号1頁)」

 「被告の原告退職に至る経緯並びに・・・原告退職後の就労状況に照らすと、原告において、原告主張の被告の不法行為があるものと認識したことについては全く根拠がないとまでは断じ得ないとしても、・・・原告主張の被告の不法行為によって原告主張の損害は生じ得ない。」

 「そうすると、原告主張の被告の不法行為に基づく損害賠償請求権は、事実的、法律的根拠を欠くものというべきであるし、原告主張の被告の不法行為によって原告主張の損害が生じ得ないことは、通常人であれば容易にそのことを知り得たと認めるのが相当である。」

 「それにもかかわらず、被告に対し、原告における被告の月収・・・の5年分以上に相当する1270万5144円もの大金の賠償を請求することは、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くというべきである。」

 「したがって、原告による本訴の提起は、被告に対する違法な行為となる。」

 そして、損害については、次のとおり判示しています。

 「被告が本件訴訟の訴状が送達された直後から、不安、不眠等が続いて希死念慮を訴え、ストレス障害であると診断されて入院し、その後も双極性感情障害であると診断され、自殺を図るなどしたこと・・・など、本件における事情を総合考慮すると、本件提起によって被告が受けた精神的苦痛を慰謝するに足る金額は、100万円と認めるのが相当である。また、被告に生じた弁護士費用のうち、10万円を本訴提起と相当因果関係のある損害として認めるのが相当である。」

3 会社からの損害賠償請求は弁護士へご相談を

 退職した会社から損害賠償請求をされたら、弁護士にご相談ください。当事務所もご相談をお受けしています。

    労働問題 企業秩序と労働者の権利義務に関する問題(懲戒処分、内部告発、仕事上のミスを理由とする損害賠償等) 裁判例
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