1 はじめに
国家公務員で、仕事を辞めたいけれども、辞められない。上司に対して辞めたいと伝えることができない。上司から引き止められている等の事情で、退職したいのに退職できない国家公務員の方もいらっしゃると思います。退職したいのに退職できないのは、国家公務員の労働問題の一つです。
退職を考える理由としては、上司からのパワハラ等のハラスメントによって体調を崩した、うつ病や適応障害等の精神疾患の病気になった、長時間の残業が続いて仕事が肉体的・精神的にキツい等、様々な理由があると思われます。
それでは、退職したいけれども退職できない場合、国家公務員は、どうすれば良いのでしょうか。
2 会社員の場合の退職のルール
会社員の場合、会社を辞めたいときに辞めることは不可能ではありません。
すなわち、期間の定めのない労働契約の場合、労働者は、会社に対して、いつでも労働契約の解約を申し入れることができ、解約の申入れの日から2週間を経過することで、労働契約は終了する(民法627条1項)等と、退職についてのルールが定められています。
例えば正社員の会社員の場合、会社に対して「仕事を辞めます。」との意思表示をすれば、その日から2週間を経過することで、会社との労働契約が終了します。
3 国家公務員の場合の退職のルール
民間の会社員に対して、国家公務員の場合、退職に関して、会社員とは異なるルールが定められています。
すなわち、国家公務員法61条は、「職員の・・・退職・・・は任命権者が、この法律および人事院規則に従い、これを行う。」と定めています。
つまり、正社員の会社員のように、辞めたいと言った日から2週間を経過すれば辞められるというルールにはなっていません。
4 国家公務員の退職、退職代行について
ですが、国家公務員の場合も、退職の交渉をすることは可能です。ご本人でされる方もいらっしゃると思われますが、弁護士に対して退職代行を依頼して、弁護士が交渉をすることも可能です。
民間の会社員とは異なるルールがありますので、退職時期や手続について、担当部署と協議し、調整しながら、退職の交渉をすることになります。
ご自身での退職が難しい場合は、国家公務員の退職代行について、弁護士へご相談ください。
当事務所もご相談をお受けしています。ご希望であれば、国家公務員の公務災害のご相談等もお受けしています(過労自死についてですが、国家公務員の公務災害の制度について「国家公務員が過労自死した場合の公務災害について」をご覧ください。)。
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