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【残業代請求】手元に証拠がない場合の残業代請求

2026 2/22
労働問題 賃金に関する問題(未払賃金、賞与、残業代等)
2026年2月22日
弁護士栄田国良(神奈川県弁護士会所属)

第1 はじめに

 労働者が会社に対して残業代請求をする場合、労働者は、残業代を計算するための残業の時間を主張・証明する必要があります。残業の時間を証明するためには証拠が必要ですし、そもそも残業の時間を主張するためにも、主張を検討するための証拠が必要です。

 しかし、タイムカード、出勤簿や入退館記録等の残業時間に関する証拠が手元にない場合、労働者は、どのようにして、会社に対して残業代を請求するのでしょうか。

第2 会社に対して任意開示を求める

 手元に証拠がないからといって残業代の請求を直ちに諦める必要はありませんが、証拠がないのですから、労働者は、残業時間を主張・証明するための証拠を集める必要があります。

 そこで、まずは、労働者が、会社に対して、証拠を任意に開示するよう求めることが考えられます。

 会社から証拠が(十分に)開示された場合は、開示された証拠をもとに、任意の交渉(話し合い)において会社に対して残業代の請求をして、話し合いでは解決が難しい場合には、労働審判や訴訟(裁判)等の法的な手続を行います。

 それでは、会社から証拠が(十分に)開示されない場合は、労働者はどうすればよいのでしょうか。

第3 証拠保全を申立てる

 会社が労働者に対して証拠を任意に開示しない場合は、一つの方法として、証拠保全を申し立てることが考えられます。

 証拠保全については、民事訴訟法に、「あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる。」(民事訴訟法234条)と定められています。

 言い換えると、訴訟を提起(裁判を起こ)してから(裁判手続の中で証拠を開示させて)証拠を調べるのでは、証拠が廃棄・改ざん・毀損される等、証拠を調べることができない、又は困難になる事情がある場合に、訴訟を提起する(裁判を起こす)前に、その証拠を調べる手続です。

 このような手続ですので、証拠保全は、将来の訴訟(裁判)に備えて、証拠を保全する機能(証拠保全機能)があります。また、事実上、会社が所持する証拠が事前に開示されるという機能(証拠開示機能)も併せて有しています。

 証拠保全の具体的な手続としては、証拠保全は、裁判所に申立てる必要があります。訴訟を提起する(裁判を起こす)前に証拠を保全する方法(及び開示させる方法)が複数ありますが、例えば検証という方法による証拠保全の場合は、タイムカード、出勤簿や入退館記録等の残業時間を証明するための証拠を保管している会社に、裁判官等の裁判所側の人達とともに出向き、その場で、証拠を保全します(開示してもらいます。)。

第4 さいごに

 このように、手元に証拠がないからといって残業代の請求を直ちに諦める必要はありませんが、証拠を集める活動を行う必要があります。証拠がなくても会社に対して残業代を請求することは可能ですが、労働審判や訴訟(裁判)になった時に、裁判官を説得できない可能性があります。

 訴訟を提起(裁判を起こ)してから証拠を開示させる方法もあり、事案に応じて証拠を集める活動の方針も異なってきます。

 証拠を集める活動から必要な残業代の請求も、当事務所にご相談ください。ご相談は、「お問い合わせフォーム」からお願いいたします。

労働問題 賃金に関する問題(未払賃金、賞与、残業代等)
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