東京地裁令和8年3月17日判決は、多業態型レストランチェーンの経営等を事業とする会社の元従業員(マネージャー)が、会社に対して、未払いの割増賃金の支払いを請求した事案です。
元従業員が管理監督者に該当するか等、法的な争点が複数ありました。争点の一つが、元従業員に支給されていた職務手当及び役職手当に深夜勤務手当が含まれるか否か、でした。
裁判所は、以下のとおり述べて、職務手当及び役職手当には深夜勤務手当が含まれないと判断しました。そのため、会社は、その分の深夜勤務手当すらも未払いであることになりました。
「給与規程(乙7)において、「職務手当は、従事する職務の対価として支給し、社員の経験・勤務成績等、職務遂行能力を要素として」支給されるものとされ(給与規程15条)、「役職手当は、役職に係る職責の対価として支給」されるものとされており(給与規程16条)、給与体系(基本/ストアリーダー)をみても、従事する職務の責任の重さに応じて金額の増減がされているというべきであり、職務手当及び役職手当が深夜労働に対する割増賃金の対価としての実質を有しているものとはいえない。また、割増賃金をあらかじめある手当に含める方法で支払う場合においては、労働契約における当該手当の定めにつき、割増賃金に当たる部分とその他の部分を判別できることが必要であると解されるところ(いわゆる明確区分性の要件)、本件においては、職務手当及び役職手当内において割増賃金たる深夜勤務手当の部分とその他の部分との区分ができず、いわゆる明確区分性の要件に抵触する。以上によれば、職務手当及び役職手当に深夜勤務手当が含まれているとは認められない。」
手当が、時間外、深夜や休日の手当といえるか(含まれているのか)が問題となることがあります。いわゆる固定残業代等については、【残業代請求】固定残業代とは?会社が固定残業代を払ってるといって、残業代の支払いに応じない?をご覧ください。
