「辞めてくれ。」、「明日から来なくてよい。」等と言われた場合、解雇されたと言えるのでしょうか。
解雇の通知書を受け取っている等、明らかに解雇といえる場合もあります。
ただ、口頭で会社を辞めてほしい旨言われた場合には、解雇されたと言えるかが問題となることがあります。例えば、解雇だと思って翌日から出勤しなくなったところ、会社から、解雇したとは考えていなかったが、欠勤が続くことから解雇することにした等の主張をされること等も考えられます。
使用者の言動が解雇の意思表示か否かも争点となった裁判例は、複数あります。
例えば、大阪地裁平成10年10月30日判決(労働判例750号29頁)は、使用者が「来月から残業代は支払えない。残業を付けないか、それがいやなら辞めてくれ。」と告げたことについて、経緯などからして、「実質的には、解雇の意思表示に該当するというべきである。」と評価しました。
また、東京地裁平成22年2月26日判決(労働判例1006号91頁)は、使用者の「明日から来なくてよい。別の仕事を探しなさい。」等と発言について、解雇の意思表示にあたると評価しました。
他方で、東京地裁平成17年9月30日判決(労働判例907号25頁)は、使用者の「当社は今まさに窮地に追い込まれております」、「社内大改革、強いてはリストラにまで、手を染めなくてはならない現況となってしまいました」、「そこで、誠に勝手な都合ですが、平成14年12月20日を目安に区切りをつけていただくことと致します」等の通知について、経緯等から、解雇の意思表示とは認めませんでした。
解雇の意思表示か否かが争われている裁判例も複数あり、実務上も、解雇か否か判断に迷う場面もあります。同じ表現の発言がされたとしても、経緯次第では、結論が分かれる可能性もあります。
解雇されたのか否かで、生活においても、法的にとれる手段においても、方向性が大きく変わってしまいます。そこで、口頭で解雇とも受け取れるような発言をされた場合には、会社に対して、書面で、解雇なのか否かを確認することも考えられます(代理人だったら、その点も確認すると思われます。)。
