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【文書提出命令】ソフトウェア利用のタイムカードの提出命令が維持された事例・東京高裁令和4年1月23日決定労働判例1348号77頁

2026 5/01
労働問題 裁判例
2026年5月1日
弁護士栄田国良(神奈川県弁護士会所属)

 東京高裁令和4年1月23日決定労働判例1348号77頁は、ソフトウェア利用のタイムカードの提出命令が維持された事例です。

 本件では、時間外勤務手当等請求事件等の裁判手続が行われている中で、労働者側から、タイムカードの様式のもので、出退勤時刻が記載されているものを提出するよう求める、文書提出命令の申立てがなされていました。

 本件の原決定である東京地裁立川支部令和4年9月16日決定は、申立てを認めていました。会社側から不服が申立てられ、本件決定が出されました。

 文書提出命令については、「相手方当事者または第三者が所持する文書について挙証者は、文書提出命令を求める申立てをなすことによって、書証の申出をすることができ」ます(伊藤眞著「民事訴訟法第8版」468頁から469頁(有斐閣、令和5年))。

 民事訴訟法219条では、以下のとおり定められています。

 民事訴訟法219条 書証の申出は、文書を提出し、又は文書の所持者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。

 要は、会社等の文書の所持者に対して、文書の提出を命ずるよう求めることができる手続です。実務上、残業代請求や過労自死事件等において、会社等が重要な証拠を保管していることがあるため、文書提出命令も活用されています。文書提出命令は、主張を証明するための証拠収集の手段の一つであり、証拠保全等と同様に、重要な手続になります。

 本件では、会社側は、不服の理由として、①会社側がサイボウズというソフトウェアを使用したタイムカードによる勤怠管理を行っていないこと、②一次資料がクラウド上に表示されていた情報であり、当該情報を保管管理しているのがサイボウズ株式会社であり、会社側が作成者でも保管者でもないこと、③任意開示を拒絶すべき理由がないこと、④取り調べの必要性がないことを主張していました。

 本件決定も、次の内容等を述べ、原決定の判断を維持しました。

 「以上のとおりであり、抗告人は、本件文書(該当期間のタイムカード)を所持、保管していると認められ、書証としての取調べの必要性も認められる。そして、抗告人は、民事訴訟法220条4号により同文書の提出義務を負っているから、抗告人に対し本件の文書提出命令を命じるのが相当である。」

 「⑴については抗告人において、上記のタイムカード機能を使用していたことが認められ、そうであれば、導入した抗告人においてタイムカードのデータを保持しているというべきであって、利用契約の契約者である抗告人においてサイボウズ社から入手して提出すること可能であると考えられる。なお、タイムカードの信用性などは文書の所持、保有の事実を左右する事情ではない。⑵についても、タイムカードの信用性は審理の中で判断されるものであり、受訴裁判所においても必要性があるとしているのであるから、抗告人の主張では本件のタイムカードの取調べの必要性がないとはいえないのであり、抗告人の主張は採用できない。」

 文書提出命令の手続では文書提出義務や、文書の所持者が誰か等が法的に問題になります。残業代請求や過労自死等の労働問題は、弁護士にご相談ください。

労働問題 裁判例
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