東京地判令和7年10月27日判決は、会社の元従業員に対する損害賠償請求が棄却された事例です。
具体的な事案としては、本件は、使用者が、使用者と雇用契約を締結し看護師として美容皮膚科クリニックで医療脱毛等の施術に従事していたも従業員が退職したことによって、使用者が少なくとも100万円の損害を被ったとして、債務不履行に基づく損害賠償請求として、損害の一部である10万円の賠償等を求めた事案です。
当事者は、以下のとおりです。
原告は、美容クリニック運営の人事コンサルティングを行う合同会社です。原告は、某クリニックとの間で、業務委託契約を締結して、原告と雇用契約を締結した看護師らを某クリニックに従事させていました。
被告は、原告との間で雇用契約を締結し、看護師として、某クリニックで医療脱毛の施術等に従事していた。
背景事情として、某クリニックには、被告が在籍していた当時、4名の看護師が在籍していました。被告以外の看護師も、被告が退職の意思表示をした日に欠勤し、その日又は後に出勤しなかったようです。そして、原告は、某クリニックの代表者に対して、500万円を支払っているようです。
その後も、原告は、訴訟を提起して、某クリニック代表者との間で合意書を作成し100万円を支払う等したようです。
その他にも、原告では勤務看護師3名の同時期の離職が発生し、某クリニックの代表者が原告に対して看護師3名の欠勤により合計約1億円の損害を被ったとして内100万円の損害を請求する訴訟を提起する等の事情があるようです。
本件判決は、結論として、某クリニックの損害の具体的な発生について立証があったと認めることができず、また、原告の損害の発生についても立証が尽くされていない旨指摘し発生しているとは認めることができないと判断しました。
私も、会社が従業員や元従業員に対して損害賠償請求をする相談、ご依頼もお受けしています。会社が主張する債務不履行ないし不法行為が成立するかも問題となりますが、会社が主張する損害が本当に生じているのかも問題になります。仮に不法行為等が成立するとしても、損害が生じていなければ、損害賠償請求は認められません。損害についても、吟味が必要です。
