大阪地裁令和6年7月31日判決は、プレス機に指を挟まれた負傷について損害賠償請求が認められた事例です。
事故の内容は、原告が工場内において就業中に、原告の右手中指が某社の45トンプレス機に挟まれるという事故でした。
原告は、事故によって、右中指末節骨開放骨折などの傷害を負いました。また、労災認定を受け、後遺障害等級は、12級9号と認定されました。
裁判所は、以下のとおり判断して、被告会社の安全配慮義務違反を認めました。
・被告は、本件事故当時、労働安全衛生規則28条及び131条に基づき、使用していた本件プレス機に安全装置を取り付ける措置を講じるとともに、安全装置が有効な状態で使用されるよう点検及び整備を行う義務を負っていた。
・また、被告は、労働安全衛生法14条、同法施行令6条7号、労働安全衛生規則134条3号に基づき、作業主任者を選任した上で、当該作業主任者に安全装置の切替えキースイッチの鍵を保管させる義務を負っていた。
・本件事故当時、何者かが本件安全装置の電源を切っていたことによって、本件事故が発生したと推認するほかない。このような本件事故の態様及び本件安全装置の電源の切替えキースイッチのキーを保管者でない従業員が使用できる状態にあったことに鑑みると、被告会社は、作業主任者に本件安全装置のキースイッチの鍵を保管させる義務に違反したというべきである。
本件判決では他の点も判断されています。過失相殺については、原告に2割の過失が認められています。
なお、条文は、以下のとおりです。
労働安全衛生法14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
労働安全衛生法施行令6条 法14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。
1号~6号 中略
7号 動力により駆動されるプレス機械を五台以上有する事業場において行う当該機械による作業
8号~23号 中略
労働安全衛生規則28条 事業者は、法及びこれに基づく命令により設けた安全装置、覆おおい、囲い等が有効な状態で使用されるようそれらの点検及び整備を行なわなければならない。
労働安全衛生規則131条1項 事業者は、プレス機械及びシヤーについては、安全囲いを設ける等当該プレス等を用いて作業を行う労働者の身体の一部が危険限界に入らないような措置を講じなければならない。ただし、スライド又は刃物による危険を防止するための機構を有するプレス等については、この限りでない。
2項~3項 略
労働安全衛生規則134条 事業者は、プレス機械作業主任者に、次の事項を行なわせなければならない。
1号~2号 中略
3号 プレス機械及びその安全装置に切替えキースイツチを設けたときは、当該キーを保管すること。
4号 中略
