令和3年11月18日札幌地方裁判所判決は、機械のローラーへの巻き込まれ事故の損害賠償請求が認められた事例です。被災者が約4800万円の損害賠償請求をしていたところ、結論としては、本件判決は、約2800万円の賠償義務を認めました。
本件判決の事案は、弁当箱等の木製食品容器の製造業務に従事していた原告が、工場内の糊付機の清掃業務中、機械の回転しているローラー部分に左手を巻き込まれ負傷したことについて、会社に対して、安全配慮義務違反等を理由として、損害賠償を求めた事案です。
なお、労災認定され、傷害等級が準用7級と認定されています。
本件判決は、次のとおり述べて、会社の安全配慮義務違反を認めました。
・会社は、機械等による危険を防止するため必要な措置を講じなければならない(労働安全衛生法20条1号)。
・機械の掃除等の作業を行う場合において、労働者に危険をおよぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない(労働安全衛生規則107条1項)。
・使用者が運転停止等の措置を怠り、労働者に危険を生じさせた場合には、雇用契約上の安全配慮義務等に違反するものと解するのが相当である。
・本件機械は、ローラーが人の手の届く位置に露出して設置されているほか、ローラー付近に手で操作する操作部も設けられており、ローラーの回転中に近傍で作業する者の身体の一部が触れるなどして巻き込まれる危険性がある。上部ローラー上面に覆いを設置することも可能であった。
・本件機械は、毎日の清掃が必要であった。清掃作業は、ローラーに手の届く位置に複数の作業者が立ち、ローラーの回転中にその直上付近の熱湯注入レバー等の複数の操作部をその時々の糊付着の状態等に合わせて臨機応変に順次操作する等するものであった。
・以上によれば、本件機械は、清掃作業に従事する者が操作を誤る等して、身体や衣服の一部等がローラー部分に触れて巻き込まれるなど、労働者に危険を及ぼすおそれのあるものであった。機械の運転中に作業を行わなければならない場合において危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じない限り、その清掃作業を行う際には、機械の運転を停止しなければならないものであった。
・会社において、ローラー巻き込み事故の発生が予見可能であった。
・会社は、本件事故当時、本件機械上部ローラー上面に覆いを設ける等の措置をとらないまま、機械のローラーの運転を止めない状態で清掃作業を行わせていた。したがって、会社は、安全配慮義務等に違反した。
なお、被災者に3割の過失があったとして、過失相殺が認められています。
