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【パワハラ】ハラスメント調査報告書の信用性に疑義がある等とされた事例・令和6年10月3日名古屋高等裁判所判決判例タイムズ1541号90頁

2026 3/28
労働問題 ハラスメントに関する問題(パワハラ、セクハラ、マタハラ、カスハラ等) 裁判例
2026年3月28日
弁護士栄田国良(神奈川県弁護士会所属)

 令和6年10月3日名古屋高等裁判所判決判例タイムズ1541号90頁は、ハラスメントの調査報告書の信用性に疑義がある等とされた事例です。

 ハラスメントの調査報告書は、パワハラ訴訟、うつ病や過労自死等の労災申請・賠償請求等で証拠となり得ます(内容次第では、労働者・遺族側に有利にもなれば、不利にもなります。)。例えば当ブログでご紹介した令和6年2月2日釧路地方裁判所判決の事案においても、報告書の内容も指摘された上で、パワハラの存在が否定されています。

 ときには、調査報告書の信用性も争点となることがあります。本件判決の事案は、ハラスメント対策委員会で承認された当初の調査報告書の内容と結論を否定する再調査委員会の調査報告書が存在しています。本件判決は、次のとおり述べて、再調査委員会の報告書が、損害賠償義務を免れるため組織的に行われたと疑われる面があるなど信用性に疑義があり、少なくとも当初の報告書より信用性が高いとはいえないと判断しています。

 ・再調査委員会の報告書では、ハラスメントの認定がいずれも事実誤認である等として否定されている。

 ・しかし、本件調査報告書の内容と結論は、ハラスメント対策委員会において承認されている。ハラスメント対策委員会での席上でも、第三者調査委員会調査報告書において指摘されているような、調査方法等の疑義が示されたり、議論された形跡が窺われない。上記結論を前提とする意見が述べられる等もしていた。

 ・再調査が行われることに至った経緯は、ハラスメント対策委員会の承認から2年以上経過し、控訴人によって本件訴えが提起された後である令和3年4月になってである。このような経緯は、損害賠償義務を免れるために組織的に行われたのではないかと疑われる面がある。その上、再調査委員会は、公平性についても疑問がないわけではなく、新たな調査として書面調査を実施したものにすぎず、調査委員会のように直接の聴き取り調査を実施したものではなく、調査委員会による調査時からの更なる年月の経過等によって当事者等の記憶が一層減退していたことも想定され、所属する組織に対して訴訟により損害賠償請求を行っている控訴人に対する拒否感等も影響していると十分に考えられる。

 ・以上の事情に照らせば、再調査委員会報告書の内容と結論は、信用性に疑義があり、少なくとも調査報告書の内容と結論よりも信用性が高いものとはいえない。結論として、再調査委員会報告書は、本件判決の認定と判断を左右するものではない。

 パワハラ等の労働問題に携わっていると(実態とは乖離する)調査内容、報告内容になることがありますが、信用性に疑義がある調査報告書が作成される等しても、粘り強く主張立証をしていく必要があります。

労働問題 ハラスメントに関する問題(パワハラ、セクハラ、マタハラ、カスハラ等) 裁判例
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