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詐欺行為の業務を行わされたことによる損害賠償請求が認められた事例

2026 1/24
労働問題 ハラスメントに関する問題(パワハラ、セクハラ、マタハラ、カスハラ等) 裁判例
2026年1月24日
弁護士栄田国良(神奈川県弁護士会所属)

 令和6年7月19日東京地方裁判所判決判例タイムズ1539号184頁は、元従業員が元勤務先の使用者に対して、詐欺行為の業務を強要される等して、退職に追い込まれて精神的苦痛を受けた等して、損害賠償請求をし、請求の一部が認められた事案です。

 裁判所は、使用者らの原告らに対する違法な業務命令権の行使による不法行為の成否について、次のとおり判断しました。

 「これらの命令はいずれも、V社又はZ社が、取引先に対し、従業員の経歴等を詐称してITエンジニアを派遣することにより報酬を得ることを目的とした詐欺行為又はその準備行為の実施を命じたものであり、雇用主であるV社又はZ社の代表者である被告Y2やその指示を受けた被告Y1又はその部下らが、原告らに対し、業務上の命令として、上記詐欺行為の一部を担うよう命じたのであるから、正当なものとみるべき余地はなく、違法な業務命令であったというほかない。」

 (中略)

 「上司である被告ら又はその他従業員からの指示に従わざるを得ない状況に追い込まれていたというべきであって、被告らの業務命令は原告らの意思に反するものであったというほかない。したがって、原告らが、自ら経歴詐称をしていることを認識していたとの事実は、被告らの業務命令が原告らに対する不法行為に当たるとの判断を左右しない。」

 原告らの損害については、逸失利益や慰謝料等が認められています。原告が3名いるのですが、そのうち1人は、逸失利益約66万円、慰謝料100万円、弁護士費用23万円等の合計約255万円の損害賠償請求が認められています。

 なお、上記の裁判例での原告らがうつ病や適応障害等の精神疾患を発病したか定かではないですが、うつ病等の労災の認定基準別表の業務による心理的負荷評価表では、心理的負荷(ストレス)を与える業務の具体例として、「業務に関連し、違法な行為や不適切な行為等を強要された」ことが挙げられています。

 違法な行為を強要される場合、残業や休日出勤を強いられたり、過大なノルマを課せられる等、違法な行為を強要されること以外にも心理的負荷(ストレス)を与える業務がある可能性もあります。

 上記の裁判例のように損害賠償請求をするという手段もありますが、うつ病や適応障害等の精神疾患を発病したり、自死された場合には、労災申請も手段として考えられます。

 違法な業務を強要されている場合、労働問題の相談場所や弁護士等にご相談ください。

 違法な業務の強要による損害賠償請求や労災申請は、当事務所もご相談をお受けしています。

     

    労働問題 ハラスメントに関する問題(パワハラ、セクハラ、マタハラ、カスハラ等) 裁判例
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