うつ病や自死等の精神疾患の国家公務員の公務災害について、公務災害非該当の通知(公務災害に当たらない旨の通知)が届いたら、どのように対処すれば良いのでしょうか。
まず初めに、公務災害は、民間労働者でいう労災です。仕事が原因でうつ病や適応障害等の精神疾患になったり、自死(自殺)された場合、国家公務員やご遺族は、公務災害の補償を受けることができます。
民間労働者の労災は、被災者やそのご遺族が労働基準監督署長に対して労災申請をしなければ、労災不支給の決定は出されません(労災申請をしなければ、労災と認定されることもありません。)。
他方で、国家公務員の公務災害の場合、被災者やそのご遺族が公務災害の申請をすることもできます。また、申請がなくても、組織(内閣府、法務省、防衛省等)の内部の者による探知によって調査等が実施され、公務災害の結果が判断されることもあります。
ですので、国家公務員の公務災害の場合、被災者やそのご遺族が公務災害の申請をしたけれども公務災害と認定されないとき、又は、組織の判断で公務災害の審査が行われ公務災害と認定されないときがあります。
被災者やご遺族が公務災害の申請をしていないのに一方的に公務災害に該当しないとの通知が届いた場合には、被災者やご遺族が準備をして(改めて)公務災害の申請をすることも考えられます。うつ病や適応障害等の病気になった原因や、自死(自殺)の原因が職場にないと職場から知らされて、公務災害認定を得ることを諦める方もいると思います。ですが、国家公務員の公務災害では、十分に調査が行われたとは限りません。非該当通知が一方的に届いても、公務災害申請を必ずしも諦める必要はありません。
被災者やご遺族が公務災害の申請をしたけれども公務災害と認定されなかった場合には、人事院というところに対して、不服を申し立てることができます。また、人事院に対する不服申し立てではなく、国を相手として、公務災害に当たるとの判断を求める裁判を起こすこともできます。民間労働者の労災や、地方公務員の公務災害では、まずは審査請求という、行政の手続での不服申し立てを行う必要があります。国家公務員の場合には、最初から裁判を起こすこともできます。
公務災害と認められない旨の判断が出された場合には、入念に準備をして、対処する必要があります。うつ病や自死(自殺)等の精神疾患の公務災害は、弁護士にご相談ください。
当事務所もご相談をお受けしています。「国家公務員の自死(自殺)の公務災害について」もご覧ください。
