レーシック手術が片目にだけされ、もう片方の目に勝手にレンズを入れる等の手術をされた等の事実を摘示する口コミの投稿主に対して、医療法人であり眼科を開院している原告への200万円の損害賠償が認められた例

1 事案の概要

 2024年5月31日大阪地方裁判所判決は、以下の内容等のクチコミについて、医療法人であり、眼科を開院している原告の被告に対する名誉毀損を理由とする損害賠償請求を認め、200万円の損害が認めました。

・ レーシック手術は左目だけで勝手に右目はレンズを入れられていました。最悪。
・次は4年前2016年に母が白内障の手術をしました。白内障手術は良かったのですがその後にAから電話がかかっててもう一度手術をするとの事。
・目ではなく何も症状もないのにまた勝手に一重目蓋にされました。極端な一重で多分視界は狭くなったと思います。その手術をするまでの患者を納得させる無理矢理に酷い説明で母は白内障レンズの入れ替えだと思ったそうです。

2 裁判所の判断

⑴ 名誉毀損

 「本件投稿は以下の各事実を適示するものである。一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準としても、原告の医院の医師が、患者から適切に承諾を得ることなく、勝手な医療行為をするとの印象を一般の閲覧者に与え、同医院を開設する原告の社会的評価を低下させる。
 ① レーシック手術が左目にだけ施術され、右目は勝手にレンズを入れる手術をされた事実
 ② 2016年に投稿者の母が白内障の手術をした後、何も症状がなかったにもかかわらず、同医院から電話がかかってきて、もう一度手術をすると言われ、その手術の結果、勝手に一重目蓋とされた事実
 ③ その手術をするまでに、同医院の医師からは、患者を納得させるために、患者に白内障のレンズの入替えをすると思わせるような説明がされた事実」

⑵ 損害

 「(1)特定費用  55万円
 (2)慰謝料  150万円
 本件に現れた諸般の事情に照らし、原告の精神的苦痛は軽視できないもので、慰謝料の額は150万円が相当であると認める。
 (3)弁護士費用 15万円」

 なお、合計額は220万円ですが、原告は、原告が主張する275万円の損害のうち、200万円の損害について損害賠償請求をしていました。

3 さいごに

 Googleマップへのクチコミ等、クチコミの場合、体験に基づく感想であるか、事実摘示であるかが問題となることがありますが、本判決の事案の場合は、明らかに事実が摘示されています。

 また、調査費用はコンテンツプロバイダ(クチコミが投稿されたサイトの運営者)に対する発信者情報開示請求訴訟の費用のようです。発信者情報開示請求訴訟では電話番号が開示され、電話番号をもとに、被告を特定したようです。例えばGoogleマップ上の誹謗中傷のクチコミの投稿主を特定する場合、IPアドレスルートで特定するのが難しいときがあります。本件の事案ではそこまではわかりませんが、IPアドレスルートではなく、電話番号ルートでの特定が選択されたのかもしれません。

 Googleマップ等への誹謗中傷のクチコミのご相談は、当事務所もお受けしています。