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うつ病や自死等の労災申請・損害賠償請求・安全配慮義務違反等、解雇・退職勧奨、残業代請求等の労働者側の労働問題を主に取り扱う栄田法律事務所(神奈川県横浜市)です。 | うつ病や自死の労災申請等の労働問題なら栄田法律事務所へ
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労働問題の解決の仕方

2025 8/02
労働問題
2025年8月2日
弁護士栄田国良(神奈川県弁護士会所属)

1 はじめに

 突然不当な理由で解雇された(不当解雇)、違法な退職勧奨を受けている、賃金を一方的に減額された、残業代を請求したい、パワハラ・セクハラ等のハラスメントを受けている、過労自死・勤務中の事故等の労働災害等々、労働問題が起きた時に、労働者は、どのようにして、労働問題を解決できるのでしょうか。

 労働問題の解決の方法としては、大きく分けると、以下の3つがあります。

 ① 交渉

 ② 裁判手続

 ③ 行政手続

2 交渉(上記①)

 会社との交渉は、労働者本人が行う交渉、労働組合を通して行う交渉、弁護士に依頼して行う交渉が考えられます。それぞれメリット・デメリットはあります。

 事案が複雑、法的な難しい問題がある、会社が強固に反対している場合等は、後述の裁判手続も視野に入れて、弁護士に依頼することも考えられます(弁護士費用の負担は、相談者様の見方によってはデメリットです。)。

 交渉で解決しない場合は、他の手段を検討する必要があります。

3 裁判手続(上記②)

 裁判手続としては、訴訟、労働審判や仮処分の手続等があります。

⑴ 訴訟

 訴訟は、裁判官が審理する手続です。原則公開の手続です。

 裁判を起こしてから判決が出るまで1年以上の時間が必要になる可能性があります。

 会社との間で何度も主張と立証を行います(その分、書類の作成等が必要になります。)。

 法的に難しい問題がある場合や、話し合いでの解決の余地がない場合等は、訴訟が適しています。

⑵ 労働審判

 労働審判は、労働審判委員会が審理を行う手続です。労働審判委員会は、労働審判官(裁判官)と民間の労働審判員(会社側の委員と労働者側の委員1名ずつ)で構成されます。労働審判は、非公開の手続です。

 労働審判の申立てから手続が終わるまで、約半年程度の時間が必要になります。

 労働審判の手続は原則として3回までなので、訴訟と比べると書類の作成等の回数が少ないことが多いですが、最初の1回目が勝負であり、決して書類作成等の負担が小さいわけではありません。

 迅速に解決したい場合等に適しています。

⑶ 仮処分

 緊急に解決する必要があり、訴訟による解決を待つのに適さない場合、仮処分という手続も考えられます。

 不当解雇の問題における賃金仮払い等仮処分、ハラスメントの問題におけるハラスメントに対する差止めの仮処分等の手続があります。

 仮処分の申立てから通常2~3週間で一回目の手続が行われます。その後も、2~3週間程度の間隔で、手続が行われます。

 数か月から半年程度で、話し合いで解決できるか(和解)か、裁判所の決定を待つことになります。

4 行政手続(上記③)

 行政手続としては、労基署への相談、労働局によるあっせんや、労災申請等が考えられます。

⑴ 労基署への相談

 賃金の未払いや残業代の未払い等、会社が労働基準法に違反している場合、労働者が労働基準監督署に相談等をすることも考えられます。労働基準監督署は、各地にあります。神奈川県内の労働基準監督署は、「労働基準監督署の所在地・管轄一覧」をご覧ください。

 労働基準監督署に対する申告は、匿名でも行えます。

 申告を受けた労働基準監督署が会社に対して指導を行う可能性があります。

 労働者からの指摘には従わない会社が、労働基準監督署からの指摘に従う可能性はあります。

 「労働基準監督署の役割」もご覧ください。

⑵ 都道府県労働局によるあっせん

 各都道府県の労働局に設置されている紛争調整委員会が指名するあっせん委員が、労働者と会社の間に入って紛争を調整する手続もあります。

 申立てから1か月程度で終了し、無料でできます。

 会社はあっせんに応じることを拒否できますし、十分な解決にならない等のデメリットもあります。

 「個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)」もご覧ください。

⑶ 労災申請

 ハラスメント等による過労自死・過労うつや、勤務中や通勤中の事故での負傷が生じた場合等には、労災保険給付を受給できる可能性があるので、労働基準監督署長に対する労災申請も考えられます。

 過労自死・過労うつや、勤務中や通勤中の事故での負傷等の労働災害においては、労災保険では填補されない損害を会社に対して損害賠償請求することもありますが、通常、労災申請を先行することが多いです。

 「労災補償」や、「労働災害の基礎知識」もご覧ください。

5 さいごに

 以上のように、労働問題が起きた時に、その解決に弁護士の協力が必ず必要なわけではありません。それぞれの方法を比較検討のうえ、適切にご対応いただければと思います。

 他方で、交渉、裁判手続や労災申請等、客観的に見て、弁護士の協力が必要な場合もあります。

 例えば残業代の請求も、自分で交渉したり、労働基準監督署に指導してもらうことで、会社から残業代が支払われる可能性はあります。ですが、固定残業代の扱いが適切でない(「固定残業代と残業代請求」参照)等、法的に適切な残業代が支払われるとは限りません。また、労災請求についても、労災認定されるように、労災請求の証拠の収集、法的構成の検討等をする必要があります。不十分な証拠しかなくても労働基準監督署が調査に非常に協力してくれて、結果として労災が認定されることもありますが、労災が認定される可能性を高めるには、事前の準備が必要不可欠です。

 また、交渉についても、なかにはご本人で裁判手続をされていることもありますが、弁護士に依頼することで、裁判手続も視野に入れての交渉が可能になります。訴訟等の裁判手続をしないとの条件で交渉での解決を目指す場合、交渉には法的な強制力がないので、会社は労働者の要求を無視したり、会社が提案する低い水準での解決をせざるを得ない場合(双方が合意しないと交渉では解決できないため。)もあります。

 よろしければ、弁護士にご相談ください。当事務所もご相談をお受けしています。

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