第1 Googleマップにおける誹謗中傷のクチコミの投稿
Googleマップは、Googleが提供する地図のサービスです。店舗等を登録することができます。登録された店舗等には、クチコミを投稿したり、評価点をつけることができます。誰でもクチコミを投稿したり、評価点をつけたりできます。低評価の評価点がつくこともあれば、誹謗中傷にあたる内容のクチコミが投稿されてしまうことがあります。
誹謗中傷にあたるクチコミが投稿されてしまうと、そのようなクチコミは、会社や店舗等の営業等に影響を及ぼす可能性があります。
それでは、誹謗中傷にあたる内容のクチコミが投稿された場合、被害者は、どのように対応することが考えられるのでしょうか?
第2 Googleマップのウェブフォームからの削除請求
考えられる対応として、まずは誹謗中傷にあたる内容のクチコミの削除を求めることが考えられます。削除を求める方法として、任意の削除請求も考えられます。
Googleマップの誹謗中傷にあたるクチコミについては、「法的な理由でコンテンツを報告する」、「Google 上のコンテンツを報告」等から、削除の請求をすることができます。
ただし、削除が認められる基準があり、任意の削除請求が認められない場合もあります。
また、一般論として、ウェブフォームから削除請求を行い削除された場合、情報の発信者(投稿を行った加害者)の特定に必要な情報が削除されてしまう可能性もあるので、発信者情報開示請求(加害者の特定)を検討している場合は、ご留意ください。
第3 Googleに対する法的な手続での削除請求や発信者情報開示請求
ウェブフォームからの削除請求によって削除できなかった場合や、クチコミの投稿者(加害者)に対する慰謝料の損害賠償請求も検討している場合は、法的な手続での削除請求や、発信者情報開示請求が考えられます。
法的な手続としては、具体的には、民事保全(削除仮処分の申立てや、発信者情報開示仮処分命令の申立て)や、発信者情報開示命令の申立て等が考えられます。
相手方(債務者)としては、カリフォルニア州法人のGoogle.LLCを相手にします。
発信者情報開示の仮処分の手続や発信者情報開示命令によってGoogle.LLCから発信者の情報が開示された後は、アクセスプロバイダに対する発信者情報開示請求を行います。
Google.LLCに対してどの手続を行うのか、アクセスプロバイダと一緒に審理を進めるか等、手続のパターンが複数あるのですが、まずはGoogle.LCCに対して発信者情報開示の仮処分を行うのが良いのではないかと思われます。
参考までに、令和4年2月28日東京地方裁判所判決は、診療所の従業員である原告が、アクセスプロバイダ(通信会社)に対して、Googleマップのクチコミに投稿された投稿記事の発信者の情報の開示を求めて、発信者情報開示が認められた判決です。Google.LLCを相手とした発信者情報開示仮処分命令の申立てが先行され、仮処分の決定がなされています(つまり、Google.LLCを相手とした民事保全の手続を経た後に、アクセスプロバイダ(通信会社)に対する法的手続を行っています。すなわち、2段階(2回)の法的手続を行っています。)。
具体的には、クチコミによる事実の摘示や社会的評価の低下の判断において、「本件記事には、少なくとも、「口コミでも一件だけショートの女性は感じ悪くないなんて書いてありますが、きっと自分か部下に書かせた」、「この女性が口コミに対して返信してるんだろうから、返信はいりませんので。」との記載部分があり、推測ながら、原告が自分について「感じ悪くない」との投稿を自ら又は部下に命じて書かせた事実及び原告が口コミに対する返信している事実を断定的に摘示するものと認められる。そして、一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すれば、上記の内容をみた場合、原告の社会的評価を低下させるものと認められる。」と判示しています。
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