e戸建て・マンションコミュニティに投稿された誹謗中傷の削除請求・発信者情報開示請求

第1 e戸建て・マンションコミュニティとは

 e戸建ては、一戸建て購入検討者を応援する口コミ掲示板サイトです。また、マンションコミュニティは、マンション購入検討者を応援する口コミ掲示板サイトです。

 不動産関連の書き込みが多く、マンション内の住民に対する誹謗中傷や、建設会社、ハウスメーカーや不動産会社等に対する誹謗中傷にあたる書き込みが行われることもあります。

 誹謗中傷の加害者が、同一マンション内の住民や、同業他社である場合もあります。

 誹謗中傷の書き込みがされた場合、被害者には深刻な悪影響が生じる可能性があります。

 それでは、誹謗中傷にあたる書き込みが行われた場合、被害者は、どのような対応が考えられるのでしょうか?

第2 任意の削除依頼・発信者情報開示請求

 まずは、任意の削除依頼・発信者情報開示請求が考えられます。

 この点、e戸建て及びマンションコミュニティを運営するミクル株式会社は、削除依頼・発信者情報開示に関するガイドラインを策定・公表しています。

 まずは、同ガイドラインに則って、削除請求・発信者情報開示請求を行うことが考えられます。

 例えば、同ガイドラインでは、削除依頼について、次のように案内されています。

① 「削除依頼フォームを開設しております。削除のご依頼につきましては、スレッド上に表示しております「×」ボタンより、当該フォームへ委細ご入力の上、ご連絡ください。」

② 「Eメールでのご依頼や、プロバイダ責任法に基づく送信防止措置依頼を頂戴するケースがございますが、弊社による任意削除が求められる以上、弊社にて削除が適切と判断できる新たな情報が確認できない限り、原則として、削除依頼フォームからのご依頼の場合と削除可否の判断は覆りません。」

③ 「削除依頼、送信防止措置依頼等による弊社における任意削除が困難な場合の請求者様側の解決の手段といたしまして、発信者を特定した上で、当事者間で、紛争を解決(書き込みの削除に関して投稿者の同意を得る)していただくことが挙げられます。」

 ただし、一般論として、任意の削除請求を行い削除された場合、情報の発信者(加害者)の特定に必要な情報が削除されてしまう可能性があるので、発信者情報開示請求(加害者の特定)や慰謝料の損害賠償請求を考えている場合は、ご留意願います。

第3 法的な手続での削除請求や発信者情報開示請求

 任意の削除請求によって削除できなかった場合や、クチコミの投稿者に対する損害賠償請求も検討している場合は、法的な手続における削除請求や発信者情報開示請求の行使が考えられます。

 法的な手続としては、具体的には、訴訟(発信者情報開示請求訴訟)、民事保全(削除仮処分の申立てや、発信者情報開示仮処分命令の申立て)や、発信者情報開示命令の申立て等が考えられます。

 ミクル株式会社(コンテンツプロバイダ)に対する発信者情報開示請求と、アクセスプロバイダに対する発信者情報開示請求をどのように行うのかは、検討が必要です。

 参考までに、令和元年12月11日東京地方裁判所判決は、マンションコミュニティにおける匿名の書き込みについての発信者情報開示請求が認められた判決です。

 ① 本件記事が被害者を指すと認められるか否か

 「本件記事は、「マンションコミュニティ」という掲示板の「不動産投資 Aってどうよ?」とのタイトルが付されたスレッド内に投稿されており、本件記事以前の投稿には原告Aの事業内容に沿った記載が存在することなどが認められる。また、本件記事には、「トップ二人」との記載があり,少なくともそのうち一人は代表取締役のことを指しているものと認められる。 これらの事実に照らせば、本件記事の閲覧者において、本件記事が原告A及びその代表取締役である原告Bに関する記事であると容易に推知することが可能であり,本件記事の内容は原告らについて記載されたものであると認められる。」

 ② 権利侵害の明白性の有無について

 「本件記事の記載内容のうち、「クリスマス会、やるとおもってるんですか。社員もお金もないんですよ。やる余裕なんてありません(笑)」とある部分は、一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、原告Aが、社員もお金もなく、クリスマス会などのイベントをやる余裕すらないとの事実を摘示するものであり、原告Aが経営に窮しているとの印象を抱かせるものであるから、原告Aの社会的評価を低下させるというべきである。」等

 当事務所もe戸建て・マンションコミュニティに投稿された誹謗中傷の削除請求・発信者情報開示請求のご相談をお受けしています。オンラインツールを活用して、全国からのご相談に対応可能です。ぜひご相談ください。