掲示板・SNS上の誹謗中傷・風評被害の発信者情報開示命令

1 発信者情報開示命令とは?1

 発信者情報開示命令の手続は、プロバイダ責任制限法の令和3年改正法により創設された、発信者情報開示の手続です。

 発信者情報開示命令申立の手続は、Ⅹ(ツイッター)、Googleマップ等のインターネット上の投稿によって自己の権利を害されたものが、一定の要件の下に、X(ツイッター)等を運営する会社等(コンテンツプロバイダ)に対して、権利を侵害した投稿を行った際のIPアドレス(インターネット上の住所)等の開示を求めたり、アクセスプロバイダ等に対して発信者の氏名や住所等の開示を求めたりすることができる手続です。

 ですので、発信者情報開示命令の手続を利用することで、X(ツイッター)、ホスラブ、爆サイや2ちゃんねる等のSNS・掲示板等のネット上で行われた誹謗中傷や、風評被害の原因となる投稿の匿名の投稿主(相手)を特定できる可能性があります。

 ちなみに、法改正前はコンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに対する発信情報開示の手続を別々に行う必要がありました(一段階目にコンテンツプロバイダに対する手続を行い、二段階目にアクセスプロバイダに対する手続を行う必要がありました。)。

 発信者情報開示命令の手続では、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダについて、一緒に審理を行うことができるのが特色の一つです。

2 二段階の手続を経る必要がなくなったの?

 ただし、実務上、現在も、二段階の手続を経なければIPアドレスから投稿主を特定できない場合もあるので、個々の事案によって、どのような手続を行うのかは検討が必要です。

3 発信者情報開示命令で削除請求もできるの?

 発信者情報開示命令の手続では投稿の削除を求めることはできません。投稿の削除を求める場合、別途、手続を行う必要があります。

 誹謗中傷・風評被害の発信者情報開示命令のご相談は、当事務所もお受けしています。

    1. https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section09/hassinnsya_kaiji/index.html ↩︎